- Date: Tue 30 10 2012
- Category: フットボールな日々
- Tags: アビスパ福岡 前田浩二 中倉一志
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【フットボールな日々】前田監督解任に思う
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取材・文・写真/中倉一志 |
既にご存知の通り、前田浩二監督が10月28日付で契約解除になりました。ここまでの結果は、前田監督の能力云々と言うよりも、プロ監督1年目という経験の少なさによるものだと思っていますが、勝負の世界である以上、こういう結論が待っているのは仕方のないこと。前田監督の心の中には様々な想いがあると思いますが、ひとつの結果として受け入れてくれていると思います。この経験を糧にして、またどこかで、違った姿の前田監督と会いたい、今はそう思っています。
しかしながら、前田監督を解任したからといって、クラブが直面している問題が解決するわけではありません。監督交代はチーム立て直しのためのひとつの手段にしかすぎず、根底に横たわっている本当の問題に手を付けなければ、延々と同じ状況が繰り返されるだけ。それは、アビスパのこれまでの歴史が物語っていることであり、アビスパが福岡に誕生して以来、クラブを外から見てきた経験を持つ現フロント陣なら、痛いほど分かっていることだと思います。
現在、レベルファイブスタジアムに漂う閉塞感の要因に、成績不振があることは間違いありません。しかし、成績不振を含めて、あらゆる面でクラブ史上最悪と呼べる状況を生み出し、長くレベルファイブスタジアムに通う人たちの間にさえ、クラブに対する不信感のようなものが芽生えているのは、クラブとして何がしたいのか、どの方向へ向かっていこうとしているのかが見えていないことにあります。それこそが、成績不振を含めたすべての要因であると私は思っています。
まず、しなければいけないことは、今シーズン、クラブとして何をやろうとしたのか、そのためにどういう目標を設定し、どういう行動を起こしたのか、そして、どこに問題があって現在のような状況を生み出してしまったのか、それらを客観的に整理することだと思っています。結果ありきの議論や、自己肯定や戦犯探しは物事の本質を見えなくするだけ。責任論云々の前に、まずは現実を直視することから始めることだと思っています。
その上で、改めて、アビスパというクラブが福岡にある存在意義を見つめ直し、クラブとしてどうあるべきかを整理すること。その結果として、様々な責任問題を含め、クラブとして何を行動に移さなければならないかが明確になるはずです。
いま、アビスパは創設以来最大の危機に直面しています。けれど、それに手を付けられるのは、クラブの中にいる人たちだけです。アビスパを誇りあるクラブにしたいと思っている多くの人たちのために、是非、真正面から問題に取り組んでほしい。いま切に願っています。
ここまで落ちたのだから一歩一歩小さくても地道に再構築してもらいたいです。謙虚に、突出した選手がいなくてもチームとして闘い、勝ち星を上げていくクラブに変わっていってほしいです。