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アウェイの旅2015 磐田編(その2)


中倉一志=取材・文・写真】
ヤマハスタジアムのフードコートは、スタジアム正面ゲート前広場に大きく広がっている。Jリーグのスタジアムでは、アウェイユニやグッズを身に付けたサポーターは、アウェイエリアから出られないスタジアムも多いが、ヤマハスタジアムのフードコートへの出入りは誰でも自由。磐田サポーターで溢れるフードコート内だが、アウェイサボの姿も見られ、チームを超えた交流を楽しむサポーターも多い。かくいう私も、久しぶりに会った磐田サポーターと、しばしサッカー談議に興じる。

そして、この日選んだスタ飯は「シラス丼(500円)」。地元産遠州コシヒカリに地元福田港でとれた釜揚げシラスをのせたもので、お好みで醤油ダレをかけていただく。丼は思い切って頬張るのが基本。ふんわりと炊かれたシラスと、地元産のお米を多めにとって口の中に放り込むと、なんとも優しい美味しさが口の中に広がっていく。特別なインパクトはない。けれど静かに胃袋を癒してくれる。「シンプル イズ ベスト」とは、まさにこのこと。日本人に生まれて良かったと実感する味だ。

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さて、磐田の町も少し紹介しておこう。今回は日帰り遠征のため、あちこち歩きまわることは出来なかったが、昨年訪れた時に見つけたお店が和菓子の「甘泉堂」。創業は1950年。磐田駅からジュビロードを少し歩くと左側に見えてくる。「おはぎ」の文字に連れられて中へ入ると、店内右側に磐田グッズがズラリ。思わず、福岡から取材に来たことを伝え、お店のお母さんとしばらくサッカー話で盛り上がる。磐田のこと。福岡のこと。Jリーグのこと。こんなことが出来るのも町にサッカーがあるからだ。

そして、磐田名物「おもろ」を探して町の中を徘徊する。「おもろ」とは豚足を甘辛い醤油で煮つけたもの。磐田市内には「おもろ」を利用した「おもろカレー」なるものを出す店が数点存在しているようだ。しかし、昨年は日曜日開催の試合だったため、ほとんどの店は店休日。そこで町のお肉屋さんの総菜コーナーでゲットした。九州でも焼いた豚足は一般的に食されるが、甘辛いたれで煮込んだ豚足も、また違った食感で楽しめる。

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さて、ヤマハスタジアムでの初勝利を祝しての1人祝勝会は浜松で。この日、多くのサポーターは浜松名物ウナギに舌鼓を打ったようだが、そんな高級なものは私には似合わない。当然のように選択は「浜松餃子」。既に知られているように、地元住民はこよなく餃子を愛し、宇都宮と消費量で全国1、2位を争う。せっかくなので有名店まで足を運んだが長蛇の列に断念。代わりに駅から徒歩1分の日本餃子協会認定の店「浜松屋呑兵衛」の暖簾をくぐった。

浜松餃子は、円型状に並べて焼いた餃子の中央に、ゆでもやしを付け合わせるのが一般的。その発祥は、昭和30年代はじめに中国からのひきあげ者が浜松駅周辺で開いた小さな屋台がきっかけだそうで、フライパンで少しでも多く餃子を焼くために円型に並べたことが始まり。当然、中央には丸いスペースが出来るので、それを埋めるためにもやしが盛りつけられたらしい。野菜たっぷりの餃子は軽い食感でいくらでも食べられる。写真は中(12個)だが、大でもぺろりと平らげられそうだ。

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そして遠征の締めは、なぜか立ち食いそば(汗)。以前から気になっていた浜松駅の新幹線への乗り換え改札のところにある店に飛び込んだ。初めて立ち食いそばを食べたのが何時だったかは忘れたが、その時の衝撃的な美味さが記憶に残り、以来、立ち食いそばは私の大好物のひとつになっている。関東、特に東京では、これでもかとばかりに立ち食いそば店が点在するが、福岡にはないことも私の立ち食いそばへの愛情を深める原因になっているのかもしれない。「蕎麦屋」ではなく「立ち食いそば」だからこその味がある。

今では、立ち食いそばでも新そばを出す店や、生麺をゆでる店も増えたが、立ち食いそばは、チープであることこそが最大の魅力。かつては逆二八そばと呼ばれた時代もあったが、それこそが立ち食いそばだ。甘辛い汁に、揚げ立てではない天ぷらと玉子の組み合わせがベスト。汁をそそり、そばを一口。そして汁に温められて柔らかくなったかき揚げを口に運ぶ。玉子は最後まで残しておいて、最後の一口になった麺と絡めて一気にそそる。いやあ大満足。勝利の喜びとともに浜松を後にした。(了)


アウェイの旅2015 磐田編(その1)


【中倉一志=取材・文・写真】
年がら年中飛行機に乗っていると、交通機関の価格破壊がここまで来たのかと実感する。いまや、東京までなら、LCCでなくても10,000円前後で航空券が入手可能。少しばかり工夫すれば、飛行機利用で往復20,000円を切ることさえある。値段、移動時間、移動に伴う食事等々の諸経費を含めれば、いまでは、一番コストパフォーマンスが高いのは飛行機になった。私がアウェイ遠征を始めた頃(2004年)は、最も安い交通機関は夜行バスだったが、いまでは滅多なことがなければ夜行バスを使う理由が見当たらない。

ところが、中部地方への遠征には、この理屈が通じない。割安感のある航空機チケットは少なく、どんな交通機関を使ったところでトータルコストに大きな差が生まれない。結局のところ、いつも磐田行きに利用するのは、博多-浜松間の「のぞみ早得往復切符」で、料金は往復で33,940円。今シーズン、交通費だけで往復30,000円を超える遠征は磐田以外にはない。移動時間と、それに伴う費用は、福岡からの距離に比例しない。これは長年の遠征で学んだことだ。

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けれど、福岡から磐田への旅が、他の遠征に比べて劣っているというわけじゃない。むしろ、のんびりと列車で行く旅は私の好みでもある。約2時間の試合のために費やす往復の移動時間は8時間。それは非日常の空間と時間。日頃終われている様々なものから解放されて、ただ好きなチームの事だけを考えられる。これほどの贅沢は他を見渡しても、そうそう見つけられるものじゃない。そして、列車の中にネイビーを身に付けた人を見つけては、自分と同じ仲間がいることに思わずニヤリとする。

浜松駅で新幹線を降りると、アウェイの北九州戦で出会ったサポーターとバッタリ。「今日は勝ちたいですね」と言葉を交わす。浜松から興津行の電車に乗り換えると、レベルファイブスタジアムで顔見知りのサポーターと隣合わせになる。「今日は(中村)航輔が先発ですよ」。スマホでJリーグ系サイトをチェックしながらメンバーを確認。それぞれの情報を交換し合って、試合の展開に想いを馳せる。アウェイ遠征の楽しみはスタジアムだけにあるのではない。家を出てから家にたどり着くまで。そのすべての時間に心が躍る。

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そして、シャトルバスを乗り継いでヤマハスタジアムへ。まずは、いつものようにフードコートを歩き回って、浜松らしいものを物色。そしてゴール裏へと足を運ぶ。GW中ということもあって、多くのサポーターが足を運んでいる。いつもレベルファイブスタジアムで一緒になる仲間。アウェイでしか会えない仲間。そして初めてアウェイの地に足を運んだ仲間。みんなサッカーがなければ出会うことがなかった仲間たち。そんな彼(彼女)らと、同じ空間にいる心地良さを感じる。

13:04。いよいよキックオフ。アウェイ側ゴール裏からのチャントを耳に、記者席からピッチに念を送る。試合開始直後は、自分の目の前に設定されていた最終ラインが、ほどなく10~15メートルほど下げさせられる。思っていた通りの厳しい試合だ。前半は守備に追われる展開で終了する。しかし、後半が始まると福岡は積極果敢に前へ。そして51分に酒井宣福のゴールが生まれる。思わず小さな声で「よしっ!」と口にすると、隣にいた記者に睨まれた(汗)。

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その後は、猛攻を繰り出す磐田と、体を張って跳ね返す福岡という展開が続く。試合のポイントをメモしながら手元の時計を確認する回数が増えて行く。そしてラストプレー。反対側のゴール前での混戦の様子は良く見えない。磐田サポーターの歓声に「失点か?」との想いが頭をよぎる。しかし、それに続く溜息のようなどよめきに、中村航輔がボールを抑え込んだことを知る。そして、ヤマハスタジアムに鳴り響くホイッスル。福岡は首位・磐田に勝利した。だが記者席では平静を装う。ここはアウェイのスタジアム。私にも多少の分別はある。

取材を終えてピッチに足を向ける。つい1時間前まで歓声に包まれていたスタジアムは、まるで何事もなかったかのように静かに、そして厳かに佇んでいる。スタジアムは何も語らない。だからこそ、勝者の喜びも、敗者の悔しさも、そして、ここで起こったすべての出来事を、ただ黙って飲み込む懐の広さを感じる。どこか優しく、どこか物悲しく、独特の雰囲気を醸し出す試合後のスタジアム。それもまたサッカーの魅力のひとつだ。そして福岡への帰路につく。道中に思い浮かべるのは次の試合のこと。地元に「俺が町のクラブ」がある限り、サッカーの楽しみは続いていく。(続く)


アウェイの旅2015 北九州編(その2)


【中倉一志=取材・文・写真】
北九州は隠れた(?)B級グルメどころだ。まず、小倉駅を南口へ出れば、小倉の人たちに愛されてやまない「シロヤベーカリー」が出迎えてくれる。そのまま魚町銀天街を歩きながら路地裏を除けば、昭和の香りが漂うお店がいくつも並んでいる。小倉城の方へ折れて、「サンドイッチファクトリー・オー・シー・エム」で、アメリカンテイストに浸りながら大きなサンドイッチを頬張るのも楽しい。そして、魚町銀天街を抜ければ、そこは小倉の台所「旦過市場」。私のお勧めは市場内にある「旦過うどん」。店先の大鍋で煮込まれているおでんが食欲を誘う。

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当然のように、本城陸上競技場でもB級グルメは楽しめる。その店は、シャトルバスを降りてアウェイ側入れ口の方へ少し歩いたところにある。鉄板焼きがメインの店だが、私のお目当ては「ちゃんどん」。本城陸上競技場へ行った時は必ず立ち寄ることにしている。「ちゃんどん」とは、ちゃんぽん麺と、うどん麺を半々の割合で混ぜて鉄板で焼いたもの。甘辛いソースで濃いめに味付けられた、これこそジャンクフードの代表格。一度食べたら癖になる。容器に溢れるほど盛られて300円という値段も嬉しい。

実は、この店は以前はレベルファイブスタジアムに出店していた。当時の北九州は、まだJFLで戦っていたが、大将はその頃からの北九州サポーター。レベスタでは試合前に、良くサッカー談議をした仲でもある。大将によれば「ちゃんどん」は子どもの頃に、おばあちゃんが作ってくれたものを再現して販売しているそうだ。ちゃんぽん麺とうどん麺が混ぜてあるのは、太さが違うために冷めても固まらないからだそうだ。B級グルメファンにはお勧めの一品。気に入っていただけることは間違いない。

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そして、福岡の勝利を祝うために試合後に立ち寄ったのは「資さん(すけさん)うどん」。福岡が「牧のうどん」「うどんのウエスト」なら、北九州は「資さんうどん」。言うなれば、うどん福岡ダービーの相手方と言える存在でもある。まずは、この手の店には必ずと言っていいほど置いてあるおでんを肴にビールで喉を潤す。牛すじ(120円)を除けば、大振りのおでんが、どれも80円という驚きの価格。味もたっぷり染みている。雨に打たれて冷え切った体が、心から温まっていくのを感じる。

そして、締めのうどんには、数あるメニューの中から一番人気の「肉&ゴボ天(680円)」をチョイス。ほどなく運ばれてきたうどんには「資」と書かれたかまぼこが2枚、愛嬌よく並んでいる。出汁は九州のうどんらしく魚介系の出汁が強く主張する味。麺もやはり九州。コシはないが、のど越しの優しい柔らかな麺で、心を温かく包んでくれるような気がする。そこへ、テーブルに並べられているサービスの「天かす」と「おぼろ昆布」を加えれば、さらに豪華なうどんに様変わり。美味しくいただいた。

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さて、時間に余裕がある時には、小倉駅から少し足を延ばして「肉肉うどん」を味わうのもいい。「肉肉うどん」と書いて「ドキドキうどん」と読む。なぜ、そう呼ばれているかは諸説様々で正確なことは分からない。九州にうどんにしては珍しく黒い出汁の中に、煮込まれた牛のほほ肉が乗っている。小倉からモノレールで10分ほどの北方駅付近には、人気店の「今浪うどん」「久野」の他、昔ながらの風情で「肉肉うどん」を提供する店が点在している。今ではあちこちで見かけるようになった「肉肉うどん」だが、やはり、昔ながらの空気の中で食べてこそ、B級グルメの本当の味が味わえる。(了)

◎横浜アウェイ旅 行程&旅費
日時 行程 料金
4月19日 香椎→折尾 740円
折尾→本城陸上競技場 260円
本城→折尾 160円
折尾→香椎 740円
合計 1900円


※この記事は、WEBマガジン「football fukuoka」から転載したものです。
football fukuokaとは、アビスパ福岡の情報に特化したwebマガジンで、監督・選手コメント、試合レポート、練習場レポート、ショートインタビュー等、アビスパ福岡の情報をデイリーで発信しています。是非、アクセスして、お楽しみください。


アウェイの旅2015 大分編(その2)


【中倉一志=取材・文・写真】
スポーツの楽しみのひとつが非日常性にあるのなら、アウェイ観戦はまさに非日常。それは家を出た時から始まる。事前に調べた行程にしたがって、いつもなら使わない交通機関を使い、あるいは、いつもは通らない道を通って、目的地へと向かう。時には、道中でアクシデントに会うこともある。そんな時は「これもアウェイの洗礼だ」とつぶやきながら、困難に1人で立ち向かうヒーローよろしく、にやりとするのも悪くない。戦う場所は相手チームのホームスタジアム。もともと、思い通りに行くなどとは思っていない。

道中、ネイビーを身に付けた仲間を見つける。言葉は交わさなくても心が通う。そして、アウェイのスタジアムに前に立つと、身が引き締まるのを感じる。ゴール裏に足を運べば、レプリカユニフォームを着た仲間たちがいる。いつも会う顔も、初めて会う顔もいる。みんなチームとともに戦うためにアウェイの地まで足を運んだ仲間たち。互いの距離が一気に縮まるのを感じる。そして選手たちがピッチに現れると、ありったけの想いを込めてチャントを歌う。全員の心がひとつになる瞬間だ。

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この日、誰もが胸に抱いていたのは、ビッグアイ(大分銀行ドーム)で初勝利を挙げること。ダービーの因縁、歴史は鳥栖とのダービーとは比べ物にならない。ライバル意識という点で言えば、同じ福岡県内にある北九州に対する気持ちの方が強い。けれど、同じ九州のチーム相手に、12回戦って1勝4分7敗、ビッグアイでは1勝もしていないという事実は受け入れ難い。チームの順位も大切だが、これ以上、大分の好きにさせるわけにはいかない。

前半、福岡は厳しい戦いを強いられた。後半、そんなチームを後押しするために、チャントの声がさらに大きくなる。そして選手たちが前へ出る。先制点は56分の末吉が放ったロングシュート。さらに67分、キング城後が続く。ゴールが決まると一目散にサポーターのもとへ走る城後。誰よりもサポーターを大切にする城後らして喜びの爆発させ方だった。そしてアディショナルタイム、サポーターは選手たちの背中を押すように「博多へ帰ろ~う、みんなで帰ろう!」と歌い続ける。1点を失った。しかし、その直後に試合終了のホイッスルが鳴った。

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試合後、記者会見場に足を運ぶ。井原監督のコメントを取ったらミックスゾーンに移動。選手たちに試合を振り返ってもらう。それらは、試合の結果に拘わらずメディアとしてのルーティーンワーク。それでも、福岡の勝利の日は質問も滑らかになり、そして選手たちの口も軽い。チームとしての課題は、まだまだ多い。戦術理解度も、もっと、もっと上げなければいけない。しかし、現時点での自分たちの力で、どのように戦えば勝てるのか。その点において、チームの意思統一がなされているのを感じた。

ひと仕事済ませたら、大分トキハ前から福岡行きのパスに乗り込む。遅めの夕食は、大分へ行ったら必ず立ち寄る「五車堂」の「チキンカツ弁当」。五車堂は商店街の中にある昔ながらの洋食屋さん。カウンターがメインのお店は、食事時にはいつも満員。持ち帰りの弁当も人気だ。ノートパソコンほどある弁当の蓋をあけると、大きなチキンカツが顔を出す。大きな口をあけてかぶりつけば、幸せが口の中いっぱいに広がる。やはり、勝利は最高のスパイスだ。さて、次節もアウェイ。北九州との福岡ダービーが待っている。もちろん、勝利あるのみだ。(了)

※この記事は、WEBマガジン「football fukuoka」から転載したものです。
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アウェイの旅2015 大分編(その1)


【中倉一志=取材・文・写真】
運転免許を持たない私の九州内の移動は、もっぱら高速バス。この日も博多バスターミナルから、8:44発のスーパーノンストップ「とよのくに号」に乗り込む。2時間40分ほど揺られれば大分まで連れて行ってくれる。シートに腰をおろしてくつろぐと、ふと「2時間40分もあれば、新宿まで、いや北海道にだって行けるな」と心の声がつぶやく。いまや、長距離移動の運賃比較では最も安くなった飛行機のおかげで、日本は狭くなったように感じていたが、九州はまだまだ広い。

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少し早目に着いたために。駅前の商店街を中心にブラブラと散策する。私が初めて大分を訪れたのは1999年。J1昇格を目指して戦う大分の試合を取材するためだった。当時は、町でトリニータの文字を見つけるのは難しく、周辺取材でもトリニータのことが話題になることは少なかったが、今では駅前の商店街には、あちこちにトリニータの文字と、マスコットである「ニータン」の似顔絵を見ることが出来る。転機になったのは2002年日韓W杯。その後、様々なことがあったが、今では「おらが町のクラブ」として愛されているのだろう。

そして、大分駅前に足を運んでビックリ。かねてから駅舎の改修工事が進められていたが、その工事も終わり、大分の玄関口は大きく様変わりしていた。名付けて「JR大分シティ」。開業が4月16日のため、試合当日はまだ人波も少なかったが、開業当日は8万人の人出が予想されているそうだ。駅周辺には、古い店がまだ立ち並んでいるが、いずれ再開発され、駅を中心に都会的な街並みに変わっていくのだろう。新しくなる町を嬉しく思いながら、ちょっぴり、古い町並みが消えていく寂しさを感じる。歳を取ったということなのだろう(汗)

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それでも、商店街には昔の大分の空気がそのまま残り、少し路地裏へ足を延ばせば、私の好きな街並みや店が並んでいる。そして、この日の昼食に選んだのは、facebookで教えてもらった「大島屋」だ。入口は「ダウンタウン奥の細道」と名付けられた、人がようやくすれ違うことが出来るほどの路地。5、6メートルほど進んだ所に店がある。「酒場放浪記」に出てくるような店かと思いきや、静かで、落ち着いた感じのする店。大きなカウンターだけの店で、上品な年配の女性が1人で切り盛りしている。様子から察するに、夜はバルとして営業しているようだ。

昼のメニューは「カレーライス」(850円)と「カレーライス大盛り」(1000円)のみ。次があるので(汗)「カレーライス」をチョイスする。運ばれてきたのは、やや黒っぽいルーのカレーライス。口に運ぶと深みのあるコクが広がり、その後を辛さが追いかけてくる。安っぽい辛さではなく、数種類の香辛料が生み出すスパイシーな辛さが舌を刺激する。なるほど、本格カレーと銘打っているだけのことはある。長い間、地元の人たちから愛されてきた理由が分かるような気がした。

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小腹を満たしたら、シャトルバスで大銀ドームへ。そして、いつものように「ぶんごや」の屋台へ向かう。大銀ドームのスタジアムグルメは数あれど、いつも食べるのは「ぶんごや」の「トリニータ鍋」(500円)と「中津唐揚げ」(600円)と決めている。トリニータ鍋とは、みそ仕立てのスープに、だんご麺、うどん麺、ちゃんぽん麺のいずれかを入れたもの。もちろん、一番人気は大分の郷土料理である「だご汁」。この日も、私の次に並んでいた人でだんご麺は売り切れた。

そして「中津唐揚げ」。大ぶりの唐揚げが、容器の蓋が閉まらないほど入っていてボリュームはたっぷり。揚げ加減も絶妙で、肉が実に柔らかい。そして、口の中に広がるたっぷりの肉汁と、スパイスの効いた濃いめの味付けが食欲を誘う。1人で食べるには量が多すぎるかと思ったが、気が付けば完食していた。
さて、アウェイグルメを食べつくすという、いつもの儀式を済ませたら、いよいよ、試合開始。大銀ドーム初勝利を挙げるために気合いを入れて記者席へ向かった。(その2に続く)

※この記事は、WEBマガジン「football fukuoka」から転載したものです。
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代表取締役 中倉一志
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